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結婚新生活支援事業 2021年は最大60万円?

POSTED / 2020.12.12

堀内航志
堀内航志 Horiuchi Kohshi

菅内閣の目玉政策の1つとして注目を集めるのが内閣府の少子化対策の一環「結婚新生活支援事業」です。

新婚世帯に対し新居の家賃や引っ越し費用など新生活にかかる費用を最大60万円まで補助するというものです。現在では、夫婦ともに年齢が34歳以下、世帯所得340万円未満の世帯を対象に最大30万円となっていますが、来年(2021年)度からは拡充されることが発表されました。

背景や意外と知られていない制度の概要などご紹介していきます。

結婚新生活支援事業とは

 

結婚新生活支援事業は「希望出生率1.8」の実現に向け、若者の結婚が希望する年齢でかなえられるよう、婚活支援や結婚に伴う新生活の支援などを目的としています。

 

出典:内閣府

 

新婚世帯への支援を必要とする理由とは?

国立社会保障・人口問題研究所による「独身者調査」の結果からは、いずれは結婚しようと考える未婚者の割合は、いぜんとして高い水準にあり、18 ~ 34歳の男性では85.7%、同女性では89.3%となっています。

このうち、「1年以内に結婚する意思がある」と回答したのは、男性が45.5%、女性が52.6%と高い水準となっています。

 

未婚男性(18~34歳) 未婚女性(18~34歳)
いずれ結婚したい 85.7% 89.3%
1年以内に結婚意思あり 45.5% 52.6%

 

一方で、結婚する意思はある男女が大多数であるにも関わらず、結婚に踏み切れないのには障害があるという結果も出ています。

1年以内に結婚する意思がある男女が、結婚に踏み切れない障害として「経済的理由」をあげる回答が男女ともに4割以上になっています。また住居が障害となるという回答も男女ともに高い結果となっています。

 

結婚の障害 未婚男性(18~34歳) 未婚女性(18~34歳)
結婚資金 43.4% 41.9%
結婚のための住居 21.2% 15.3%

出典:国立社会保障・人口問題研究所

 

また、内閣府の調査でも、結婚希望者が行政に実施してほしい取り組みとして「結婚や住宅に対する資金貸与や補助支援」をあげる回答が、42.3%(20~30代の未婚及び結婚3年以内の男女が回答)にのぼっています。

 

結婚新生活支援事業の概要

対象世帯とは?

支援の対象となる世帯は、次の①~④の要件を全て満たす世帯です。
※ただし、①~③については、市区町村によって異なる場合があります。

①令和2年1月1日からお住まいの市区町村の事業終了日までに入籍した世帯

②夫婦の所得を合わせて340万円未満(注)の世帯

※奨学金を返還している世帯は、奨学金の年間返済額をご夫婦の所得から控除

※所得340万円は年収に換算すると約480万円ほど

③夫婦ともに婚姻日における年齢が34歳以下の世帯

④その他、お住まいの市区町村が定める要件を満たす世帯

 

支援の対象となる費用

新居の住居費 ㋐新居の購入費
㋑新居の家賃、敷金・礼金、共益費、仲介手数料
新居への引っ越し費用 ㋒引越業者や運送業者に支払った引越費用

 

いくら補助を受けられるの?

上記㋐~㋒を合わせて1世帯あたり上限30万円です。
※ただし、お住いの市区町村によって異なる場合があります。

 

補助金の申請方法

残念ながら、すべての都道府県の市区町村で実施しているわけではありません。2020年度に実施しているのは全国289市区町村で全体の15%ほどです。

令和2年11月1日現在で東京都・福井県・広島県では実施している自治体はありません。

お住まいの市区町村で「結婚新生活支援事業」を実施している場合で、上記の世帯要件に該当する場合に補助を受けることができます。
市区町村によって事業名称や対象世帯、補助上限額等の内容が異なる場合がありますので詳細は市区町村に直接ご確認の上、直接申請してください。

 

結婚新生活支援事業を実施している市区町村はどこ?

令和2年11月1日現在で結婚新生活支援事業を実施している市区町村の一覧

都道府県 市区町村
北海道 室蘭市 夕張市 三笠市 深川市 石狩市 今金町 真狩村 神恵内村 妹背牛町 北竜町
沼田町 当麻町 愛別町 増毛町 天塩町 幌延町 西興部村 白老町 厚真町 むかわ町
音更町 清水町 中札内村 幕別町
青森県 板柳町 三沢市
岩手県 岩手県 宮古市 一関市 釜石市 八幡平市 矢巾町 金ヶ崎町 平泉町 大槌町 山田町 軽米町
宮城県 気仙沼市 角田市 東松島市
秋田県 秋田市 大館市 湯沢市 大仙市 上小阿仁村 八峰町 五城目町
山形県 寒河江市 上山市 村山市 長井市 天童市 中山町 西川町 大江町 最上町 真室川町
小国町 白鷹町 庄内町
福島県 白河市 須賀川市 二本松市 田村市 本宮市 国見町 川俣町 大玉村 只見町 南会津町
西郷村 泉崎村 中島村 棚倉町 石川町 三春町 楢葉町 新地町
茨城県 水戸市 日立市 土浦市 石岡市 かすみがうら市 行方市 鉾田市 つくばみらい市 城里町 大子町
境町 坂東市
栃木県 栃木市 鹿沼市 小山市 大田原市 下野市 益子町 那珂川町
群馬県 沼田市 安中市 下仁田町 甘楽町 中之条町 嬬恋村 昭和村
埼玉県 鴻巣市 小川町 横瀬町 長瀞町 美里町
千葉県 千葉市 野田市 佐倉市 市原市 四街道市 山武市 いすみ市 栄町 横芝光町 長生村
白子町 鋸南町
東京都
神奈川県 松田町 湯河原町 愛川町 清川村
新潟県 新潟市 十日町市
富山県 小矢部市 射水市 上市町 入善町
石川県 七尾市 小松市 羽咋市 川北町 津幡町 内灘町 中能登町
福井県
山梨県 韮崎市 市川三郷町
長野県 上田市 岡谷市 諏訪市 須坂市 千曲市 東御市 小海町 南牧村 立科町 下諏訪町
飯島町 高森町 喬木村 木祖村 麻績村 朝日村 池田町 松川村 坂城町 高山村
木島平村 信濃町 小川村 東御市 南木曽町
岐阜県 高山市 中津川市 美濃市 山県市 本巣市 海津市 神戸町 岐阜市
静岡県 静岡市 島田市 富士市 焼津市 藤枝市 下田市 御前崎市 牧之原市 東伊豆町 小山町
吉田町
愛知県 弥富市
三重県 熊野市 いなべ市 紀北町 紀宝町
滋賀県 彦根市 草津市 湖南市 高島市 東近江市 豊郷町
京都府 南山城村
大阪府 枚方市 泉佐野市 和泉市 藤井寺市 岬町 太子町
兵庫県 神戸市 三木市 高砂市 丹波市 南あわじ市 加東市 多可町 稲美町 上郡町
奈良県 五條市 三宅町
和歌山県 和歌山市 由良町
鳥取県 北栄町
島根県 川本町 吉賀町
岡山県 真庭市 和気町 矢掛町
広島県
山口県 長門市 美祢市 平生町
徳島県 美馬市
香川県 丸亀市 善通寺市 琴平町
愛媛県 八幡浜市 大洲市 上島町 久万高原町 愛南町
高知県 室戸市 安芸市 南国市 土佐清水市 香南市 香美市 奈半利町 いの町 佐川町 日高村
津野町 大月町
福岡県 豊前市 うきは市 嘉麻市 那珂川市 岡垣町 遠賀町 鞍手町 桂川町 糸田町 川崎町
大任町 吉富町
佐賀県 嬉野市 基山町 上峰町
長崎県 諫早市 松浦市 壱岐市 雲仙市 南島原市 東彼杵町 川棚町 波佐見町
熊本県 荒尾市 玉名市 玉東町 高森町 錦町 水上村
大分県 日田市 宇佐市 九重町 玖珠町
宮崎県 国富町 綾町
鹿児島県 枕崎市 垂水市 薩摩川内市 いちき串木野市 志布志市 東串良町 瀬戸内町
沖縄県 石垣市 南城市 恩納村

 

結婚したら「助成金」があることを知っていた女性は約10%、女性たちのリアルな意見

結婚新生活支援事業についご紹介してきましたが、実際にはどのくらい認知されているのでしょうか?

結婚式業界唯一のチャット相談プラットフォーム「PLACOLE WEDDING」を運営する、冒険社プラコレ(本社:神奈川県鎌倉市、代表取締役CEO:武藤功樹、以下「プラコレ」)が、20代~30代女性1373名を対象に調査を実施した結果をご紹介します。

20代~30代女性1373名を対象に実施したアンケート結果によると「助成金」があることを知っていた女性は全体の13%にあたる178名でした。

助成金について「最近ニュースやネットで存在を知った」と答えた女性は187名、「ご自身が結婚するときに調べた」という方は80名、「前から知っていたと答えた」という方は70名という結果でした。
やはり、「結婚新生活支援事業費補助金」は20~30代女性の中での認知度が低いといえそうです。

約3分の1の女性が最近ニュース等で知ったと回答している中で、実際に「助成金を貰った、又は貰う予定」と答えた女性はたったの5%でした。多くの女性が現時点での「該当地域」に住んでおらず、また、対象条件外であるということも分かりました。

<「助成金」をもらった、又はもらう予定と回答した女性の声>
・助成金を貰えるのは有り難い、結婚式の費用に充てる。
・引っ越しや家賃等にしか使えないと聞きました。
・新居の購入資金にあてます。
・子どもの将来の為に貯金に充てます。
・家具家電などの引っ越し費用にあてるつもりです。

 

女性たちのリアルな声は…

・対象地域でもなく、世帯年収も対象外です。誰が受け取れるのだろうという印象です…
・そのような情報はどこから知るのでしょうか?なかなか情報が届きません。
・東京なのに貰えません。生活にもお金がかかる地域なのに…という気持ちです。
・年齢制限をかけるのをやめてほしいと思う。
・世帯年収の設定が低すぎて共働きだと貰えません。結婚にあたりお金が必要なので手厚くしていただきたい。

・対象の市町村が少なすぎて、ぬか喜びでした。全自治体や国レベルでやってほしいです。
・新婚生活はなにかとお金がいるので全世帯支給してもらいたい。
・知らない人が沢山いるし、もっとテレビや雑誌で教えてもらいたい、情報が届いていない。

以上のように、対象エリアの少なさ・世帯年収の条件・対象年齢の条件に疑問の声があがりました。
また、知らないと回答する女性が多く、もっと情報を発信する場を増やしてほしいという声もあり、誰に相談しどうやって申請するものなのか調べてもよくわからないといった回答も見られました。

出展:PLACOLE WEDDING

 

2021年からは補助金が60万円に増額される?

現状の「結婚新生活支援事業」の要件は、年収や年齢の条件が狭き門となっており、あまり活用されていないのが実態です。そのため、内閣府は来年度予算の概算要求に補助額の増額などを盛りみました。金額の倍増と条件緩和でより多くの市町村に取り組んでもらう狙いです。

2021年度からは夫婦の所得の上限額と年齢要件が39歳以下になるなど緩和され、そして補助金額も30万円から60万円に増えることが見込まれていますので、対象となる可能性がある人は、今のうちに制度を理解しておくことをおススメします。

 

まとめ

内閣府の少子化対策の一環である「結婚新生活支援事業」についてご紹介しました。

残念ながら、2020年の現状では、実施している自治体はまだ少なく、また多くの世帯が該当しない条件になっています。同時に結婚を意識している人たちが制度そのものを知らないという現実もあります。

2021年度に条件の変更が行われることで実施する自治体が増えてくれば、該当する世帯も増えることが見込まれますので、これから結婚を考えている人はしあわせな新生活をスタートするためにも、自分がすんでいる市町村の実施状況等を確認してください。

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